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実家じまいの前に。お盆の帰省で確かめたい5つのこと


実家じまいの前に お盆に確かめる5つのこと。
実家じまいの前に お盆に確かめる5つのこと。

いきなり「片付け」から入ると、たいてい途中で止まります

もうすぐお盆休みです。久しぶりに帰省して親の顔を見て安心する一方で、「もし親に万が一のことがあったら、この実家はどうなるのだろう」「家の中にモノが増えて、足元が危ないな」と、漠然とした不安を抱く方は少なくありません。

ただ、帰省したその場で「片付けよう」「家をどうするか決めよう」と切り出すのは、あまりうまくいきません。親の反発を招いたり、ごきょうだいの間に不信感が残ったりすることがあります。

スタートラインは、まず現状を正しく知ることです。なかでも「ご実家の不動産が、今いくらで売れるのか」を家族が把握しているかどうかが、実家じまいでも生前対策でも大きな分かれ目になります。

このコラムでは、実家じまいに動き出す「前」に家族ですり合わせておきたい5つのことを、お盆の数日で実際に手をつけられる形でお伝えします。

最初に共有するのは「親の想い」と「家族のこれから」

実家は親にとって、長年暮らしてきた場所そのものです。子ども側の「早くすっきりさせたい」「将来の負担を減らしたい」というペースだけで進めると、親御さんは「自分の居場所を奪われる」と受け取ってしまいます。

まず共有したいのは、親御さんが本当はどこで、どう暮らしたいのか。そして家族としてどこまでサポートできるのか。その延長線上に実家じまいがある、という順番を守ることが、後のトラブルを防ぎます。

帰省のときに確認しておきたい5つのこと

お盆で家族が顔を合わせるタイミングは、親御さんの暮らしぶりを直接確認できる貴重な機会です。相続や不動産の現場で実際に起きているつまずきを避けるために、5つに絞りました。

対策1|「いくらで売れるか」を含めて、資産の現在地を棚卸しする

対策2|「遺留分」で現金が必要になる可能性を想定しておく

対策3|使っていない口座やサブスクの生前整理を促す

対策4|死後だけでなく、認知症や急病など「生前のリスク」も話しておく

対策5|決めたことを誰が実行するか(遺言執行者)まで決めておく

一つ一つ、確認してみましょう。


対策1|「いくらで売れるか」を含めて、資産の現在地を棚卸しする

お盆に一つだけ持ち帰るとしたら、固定資産税の納税通知書です。毎年春に市区町村(東京23区は都税事務所)から届く封筒で、同封の課税明細書に、所在地・地番・土地の面積・建物の床面積・評価額がすべて載っています。不動産会社が査定でまず見るのがこの書類です。原本を持ち出す必要はありません。スマホで撮っておくだけで足ります。

もう一つ、市区町村の窓口で取れる「名寄帳(なよせちょう)」を見ると、その市区町村内にある親名義の不動産が一覧で出てきます。実家の裏の畑、前面道路の私道持分、昔相続したままの山林。「そんな土地があったの」というケースは本当に多く、これが後の手続きを止めます。

そして、現地に立たないと確認できないことが3つあります。

・敷地の角に境界標(金属プレートや杭)が残っているか

・登記されていない増築部分がないか(後から足した部屋、車庫、物置)

・隣家の木や塀、屋根が越境していないか

いずれも売却の直前に発覚すると、解決までに1〜2か月かかることがあります。お盆に見ておくだけで、後の時間がまるごと変わります。


対策2|「遺留分」で現金が必要になる可能性を想定しておく

親御さんが「最後まで面倒を見てくれた長女に、実家を譲りたい」と考えていたとします。ただ、ほかのごきょうだいにも、法律で保障された最低限の取り分である「遺留分」があります。

ここで先に確かめたいのが、そもそも誰に遺留分があるのかです。遺留分を持つのは配偶者・子・親(直系尊属)だけで、兄弟姉妹にはありません(民法1042条)。お子さんのいないご夫婦や、おひとり様で相続人が兄弟姉妹になる場合、遺言書さえ用意しておけば、財産の行き先を最後まで自分で決められます。ここを知らずに諦めている方が、とても多いところです。

一方、お子さんが複数いる場合は現金の準備が要ります。不動産を受け取った人が、ほかのきょうだいから遺留分にあたる金額を金銭で請求されるケースは実際に多くあります(民法1046条/遺留分侵害額の請求)。

その原資として現場でよく使われるのが、受取人を指定した生命保険です。死亡保険金は受取人固有の財産とされ、原則として遺留分の計算に含まれません(最高裁 平成16年10月29日決定。ただし他の相続人との差が著しく不公平な場合は、例外的に持ち戻しの対象になることがあります)。実家を継ぐ人を受取人にしておけば、きょうだいに渡す現金をあらかじめ用意できます。


対策3|使っていない口座やサブスクの生前整理を促す

「凍結されても仮払い制度があるから大丈夫」と聞いたことがあるかもしれません。たしかに2019年から、遺産分割の前でも一定額を引き出せる制度があります(民法909条の2)。ただし引き出せるのは「相続開始時の残高 × 3分の1 × その人の法定相続分」で、同じ金融機関につき上限150万円。葬儀費用でほぼ消える金額です。

だからこそ、生きているうちの整理が効きます。残高が0円のまま放置している口座、少額の定期預金、スマホの有料アプリやサブスクリプション(デジタル遺品)は、親御さんが元気なうちに解約し、メインバンクを1〜2つに絞っておくと、後の負担がまるで違います。

サブスクで本当に困るのは金額ではありません。解約したくても親のスマホのパスコードがわからず、引き落としを止められないケースです。まずは通帳の引き落とし欄を一緒に眺めて、「これ何?」と一つずつ聞いていく。それだけで十分な第一歩になります。


対策4|死後だけでなく、認知症や急病など「生前のリスク」も話しておく

相続というと亡くなった後のことばかり考えがちですが、抜けやすいのは「生きている間」の備えです。認知症で口座が凍結されたら、誰が介護費用を引き出すのか。急に倒れて入院したとき、まとまったお金をどう工面するのか。

ここに、費用をかけずに今すぐできることが一つあります。銀行の代理人カード(代理人指名手続き)です。あらかじめ家族を代理人として登録しておけば、本人が窓口に行けなくなっても、その家族が入出金できます。名称や条件は金融機関ごとに違いますが、共通しているのは本人に判断能力があるうちにしか申し込めないという点です。認知症の診断が出てからでは間に合いません。

家族信託や任意後見はしっかりした仕組みですが、契約書の作成に費用と時間がかかります。まずは代理人カードから、というのが現実的な順番です。帰省したついでに、親御さんと一緒に窓口へ行けるのが理想です。


対策5|決めたことを誰が実行するか(遺言執行者)まで決めておく

遺言執行者を決めておく実利は、はっきりしています。指定がないと、実家の名義変更や売却のたびに、相続人全員の実印と印鑑証明が必要になります。ひとりでも「今は判子を押したくない」と言えば、そこで全部止まります。遺言執行者が指定されていれば、その人が単独で手続きを進められます(民法1012条、1014条)。遠方に住むきょうだいがいるご家庭ほど、差がはっきり出ます。

さらに、2024年4月から相続登記が義務化されました。相続を知り、自分が不動産を取得したと知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象になります(不動産登記法76条の2、164条)。2024年3月以前に起きた相続も対象で、こちらの期限は2027年3月末です。「とりあえず名義はそのままで」が、もう通用しません。

遺言書は公正証書にすると確実ですが、費用が気になる場合は法務局の自筆証書遺言書保管制度もあります(2020年開始、保管手数料は1通3,900円)。形式の不備で無効になるリスクが減り、家庭裁判所の検認も不要になります。


ネットの情報だけで判断すると、「遺留分」でつまずきます

「相続税評価額」と「時価」は別物です

多くの方がつまずくのが、この2つのズレです。

相続税の計算に使うのは「相続税評価額」で、土地は路線価をもとに算出します。路線価は公示価格のおおむね8割が目安とされています(国税庁「財産評価基準書」)。固定資産税評価額は、さらに低くおおむね7割が目安です(総務省「固定資産評価基準」)。

一方、きょうだい間で遺留分を計算するときは、原則として相続開始時の時価で評価します(民法1043条)。

たとえば「固定資産税評価額が2,000万円だから、弟に払う遺留分はそれほどでもないだろう」と考えていたとします。7割で逆算しても時価の目安は約2,900万円。さらに都心部や人気エリアでは実際の取引価格がそれを上回り、4,000万円と評価されることもあります。

現金が用意できず、結局は思い出の実家を売らざるを得なかった。そうした話は、相続の現場では珍しくありません。

だからこそ「いま実家はいくらで売れるのか」を先に確かめておくことが、遠回りに見えて一番早い道になります。

家族間で話しにくいからこそ、第三者を入れる

専門家が入ると、感情論になりにくい

とはいえ、子どもから親に「家はどうするの」「財産はいくらあるの」とは聞きにくいものです。そんなときこそ、第三者を交えることをおすすめします。第三者がいると、親御さんも角を立てずに本音を話しやすくなり、客観的な材料をもとに話を進められます。

つむぎ不動産相続の関わり方

実家じまいは、体力だけでなく気持ちも消耗する作業です。つむぎ不動産相続は、女性のための不動産相談サロンとして、細やかな配慮と寄り添いを大切にしています。

ご家族の気持ちの整理から、不動産の価格査定、実家じまい、住み替え、リフォーム、売却まで。相続税のことは税理士、登記のことは司法書士、揉めごとの心配があるときは弁護士へ。必要な専門家はこちらでおつなぎしますので、お客様があちこちに説明して回る必要はありません。窓口はひとつのまま、最後までご一緒します。


まとめ:お盆に話したら、次の一歩へ

実家じまいは、モノの整理ではなく「資産」と「家族の想い」の整理です。お盆の帰省は、その現状を確認するための貴重な場になります。

帰省して少しでも不安を感じたら、一人で抱え込まないでください。まずはご自宅で5分、ご実家がいまどんな状態にあるのかを確かめるところから始められます。


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